ロックアウト・タグアウト(Lockout/Tagout、略してLOTO)は、
機械設備の点検や整備などの作業を行う際に、「勝手に動かないようにするための手順」です。
誤って起動したり、他人が電源を入れてしまったりする事故を防ぐために使われます。
ロックアウトとは
物理的に機械の動力源(電気・空気・油圧など)を遮断して、施錠(ロック)することです。
たとえば:
- ブレーカーをオフにして、専用の南京錠(ロックアウトパッドロック)で鍵をかける
- 圧縮空気のバルブを閉じて、ハンドルにロック装置を取り付ける
こうすることで、誰も機械を再起動できなくなります。
タグアウトとは
「誰がロックしているか」を知らせるためのタグ(表示)をつけることです。
タグには以下のような情報を明記します:
- 作業者の名前
- 作業日時
- 作業内容
- 「解除禁止」の警告表示
タグだけではロックされないので、「タグだけ」ではなく「ロックとセット」で使うのが原則です。
なぜLOTOが必要か?
スイッチを切っただけでは、以下のような事故が起きるおそれがあります。
- 別の人が電源を入れてしまう
- 自動で動き出す装置に挟まれる
- 蓄圧されていた空気や油が解放される
どれも命に関わる危険があるため、「確実に止めて、動かさせない」ためのLOTOが不可欠です。
LOTOの基本手順(簡略版)
- 機械を停止する(停止ボタンなど)
- 動力源を遮断する(ブレーカー、バルブなど)
- ロックアウト装置を取り付けて施錠する
- タグを取り付けて作業者情報を表示する
- 動力が遮断されているかテストする
- 作業を実施する
- 作業完了後、ロックとタグを外す
- 周囲の安全を確認し、機械を再始動する
よくある誤解と注意点
- ✅ ブレーカーを切っただけで終わりにしない
- ✅ 複数の作業者がいれば、それぞれがロックする(多人数ロック)
- ✅ ロックは他人が解除してはいけない
- ✅ 一時的に動かす時もルールを守る(例:試運転モード)
日本の現場での導入の壁
日本では、欧米に比べてLOTOの導入が遅れている傾向があります。
「そんなに手間をかけなくても」「声かければ大丈夫」といった慣習的な判断が、重大災害を招くケースも少なくありません。
まとめ
ロックアウト・タグアウトは、「止めたつもり」が事故を呼ぶ現場を変える技術です。
手間に見えるかもしれませんが、それは「命を守る手間」です。
LOTOは作業の邪魔ではなく、安全を守る“必須装備”と考えてください。