建設現場安全朝礼資料
「命を守る基本原則」- 二次災害防止と見えない危険への対策
【土木工事向け】「良かれと思った行動」が命取りに – 二次災害の恐怖
皆さん、おはようございます!
今朝は、私たちの現場で誰もが直面する可能性のある「二次災害」の恐ろしさについて話をします。この話は、皆さんの命に直結する内容です。
実際に起きた痛ましい事故
先日、仙台市の工事現場で非常に痛ましい事故が発生しました。作業員の方が深さ15メートルのマンホールに転落し、お亡くなりになったのです¹。さらに深刻なのは、この方を助けようとした別の作業員の方も、穴の中で意識を失ってしまったことです。
幸い、二人目の方は救助されて命に別状はありませんでしたが、一歩間違えれば被害はさらに拡大していました。現場からは高濃度の一酸化炭素が検出されています。
この事故が教える2つの教訓
教訓その1:基本中の基本を忘れるな
マンホールやピット内など、閉鎖された空間での作業前には、必ず酸素濃度と有害ガスの測定を徹底する。これは基本中の基本です。
教訓その2:善意が命取りになる現実
今日特に伝えたいのはこちらです。
仲間が目の前で倒れたら、「助けなきゃ!」と思うのは当然の人間心理です。私だってそう思います。しかし、その正義感や善意が、自分自身の命を危険に晒し、さらなる悲劇を生むことがある。これが二次災害の恐ろしさです。
仲間が倒れた時の正しい行動
もし皆さんの目の前で仲間が倒れても、絶対に一人で助けに行ってはいけません。
やるべきことは、次の3つです:
- すぐに大声で周りに助けを呼ぶ!
- 安全な場所から、119番通報と会社へ連絡する!
- 二次災害を防ぐため、他の誰も近づけないようにする!
根拠のない自信を捨てよう
「自分は大丈夫」という根拠のない自信は今すぐ捨ててください。救助は、専門の知識と装備を持ったプロに任せるのです。私たちの役目は、被害をそれ以上拡大させないことです。
確かに「冷静になれ」と言うのは簡単ではありません。しかし、この原則を知っているかどうかで、救える命の数が変わってきます。今日のこの話を、必ず頭の片隅に置いておいてください。
【建設工事向け】見えない危険「不活性ガス消火設備」の恐怖
皆さん、おはようございます!
今度は、私たちの現場にも潜む「見えない危険」について話をします。
相次ぐ事故の実態
最近、改修工事中の建物で、二酸化炭素を放出するタイプの消火設備が誤作動し、中にいた作業員の方がお亡くなりになるという事故が相次いでいます²。
二酸化炭素は、目に見えません。臭いもありません。そして吸い込むと一瞬で意識を失い、死に至る非常に危険なガスです。
「うちは関係ない」は大間違い
「うちは新築だから関係ない」「そんな設備は扱わない」と思った方はいませんか?
しかし、よく考えてみてください。私たちの工事が進み、内装や設備工事の段階になると、現場には様々な専門業者が入ってきます。空調、電気、そして防災設備。自分が直接触らなくても、すぐ隣でそうした設備の設置や試験が行われている可能性は十分にあります。
特に改修工事や引き渡し間近の現場では、すでに稼働している設備や、いつ作動してもおかしくない設備が存在します。
徹底してほしい3つの原則
皆さんに徹底してほしいのは、**「自分が知らない設備には、絶対に近づかない、触らない」**ということです。
具体的には:
- 壁についている赤いランプや、見慣れない配管、ボンベ室など、少しでも「?」と思ったら、必ず職長や私に確認してください。
- 自分の作業エリア以外には、むやみに立ち入らないでください。
- 「立入禁止」の表示があったら、どんな理由があっても絶対に入らないでください。
見えない危険こそが一番怖い
危険は、鉄骨や足場のような「見える危険」だけではありません。電気、ガス、化学物質といった「見えない危険」は、気づいた時にはもう手遅れというケースがほとんどです。
自分の作業内容と、その周辺にどんな危険が潜んでいるのかを正しく理解する。そして、わからないものには手を出さない。この基本を徹底することが、私たちの命を守る最後の砦です。
今日も一日、ご安全に!
引用・参考文献
¹ khb東日本放送「工事現場で作業員が約15メートルの穴に転落し死亡 仙台・宮城野区」(2025年7月25日)
² 朝日新聞デジタル「マンション駐車場、二酸化炭素で作業員4人死亡 1人重体」(2021年4月15日) ※上記は類似災害の参考例であり、直近のニュースと合わせて注意喚起するものです。