明日の建設現場の朝礼ネタ 10

アンゼンアンシン

建設現場朝礼安全講話集

【土木工事向け】港湾荷役事故に学ぶ「重心」と「固縛」の重要性

皆さん、おはようございます!

今朝は、ちょっと違った角度から安全について話をしたいと思います。先日、海外の港で起きた事故の話なんですが、これが私たちにとって他人事じゃないんです。

大型クレーンがコンテナを船に積み込む作業中、コンテナがバランスを崩して落下し、周りの作業員が危険にさらされる事故が起きました¹。映像を見ていて、本当にゾッとしましたよ。

何が原因だったか?コンテナの中身の偏り、つまり「重心」の管理が甘かったこと。そして、吊り上げるワイヤーの「固縛」が不完全だったことです。

「港のコンテナなんて関係ないじゃないか」って思いますか?違うんです。これ、まさに私たちの現場で毎日やってる作業と同じなんです。

私たちだって、ヒューム管やボックスカルバート、大型の鋼材を日常的にクレーンで吊り上げてますよね。その時、ただ吊り上げれば良いって思ってませんか?

現場で見落としがちな重要ポイント

私が現場で見ていて気になるのは、こんな場面です:

  • その吊り荷、本当に重心は安定してますか?
  • ワイヤーやシャックル、スリングの選定と固縛は、本当に万全ですか?
  • 吊り荷が回転したり、揺れたりする可能性を予測してますか?

コンテナも、私たちが扱うコンクリート製品も、見た目は同じような「箱」や「筒」に見えます。でも、その中身や形状によって重心は全然違うんです。

重心を無視した玉掛けは、吊り上げた瞬間に荷が傾いて、落下する大事故に直結します。これは脅しじゃありません。現実に起こりうることです。

今日から実践してほしい3つのこと

そこで、皆さんに徹底してもらいたいのが「玉掛け作業前の再確認」です。

  1. 吊り荷の正確な把握
    形状と重量を正確に把握し、重心の位置を予測する。「だいたい」じゃダメです。
  2. 適切な吊り点の選定
    重心を考慮して、吊り点とワイヤーの長さを適切に選ぶ。経験だけに頼らず、計算も大切です。
  3. 地切り確認の徹底
    吊り上げる前には、必ず地切り(少しだけ吊り上げて安定性を確認)を行う。この一手間を絶対に省かない。

全員参加の安全管理

玉掛けは資格を持った人がやる専門作業ですが、周りの作業員も無関係じゃありません。

吊り荷の下には絶対に入らない。これは基本中の基本です。

そして、玉掛け作業に少しでも不安な点があれば、遠慮なく「本当に大丈夫か?」って声をかけてください。その一言が、チーム全体の安全意識を高めるんです。

「うるさいやつだな」って思われても構いません。事故が起きてからでは遅いんです。

基本に立ち返ろう

重量物の取り扱いは、一歩間違えれば即座に重大災害につながります。

「いつものことだから」「今まで大丈夫だったから」。この慣れが一番危険です。

基本に立ち返って、慎重すぎるくらい慎重に作業を進めましょう。それが、皆さんと皆さんの家族を守ることにつながるんです。

今日も一日、ご安全に!


【建設工事向け】食品工場の火災から学ぶ「可燃性ガス」の恐怖

皆さん、おはようございます!

今日は、火災について話をしたいと思います。先日、ある食品工場で大変な事故がありました。パンを焼くオーブンから発生したガスが原因とみられる爆発火災です²。幸い死者は出ませんでしたが、工場は大きな被害を受けました。

「パン工場の話が、なぜ建設現場で関係あるんだ?」って思いますよね。

でも、この事故は私たちに「目に見えない可燃性ガス」の恐ろしさを教えてくれるんです。

建設現場に潜む見えない危険

私たちの現場、特に内装工事や改修工事の現場を思い出してください。

  • 接着剤や塗料を使う時の、あのツンとした有機溶剤の臭い
  • 防水工事で使う、ウレタンやプライマーの強烈な臭い
  • スプレー缶タイプの断熱材や補修材

これら全部、空気中に可燃性のガスを放出してるんです。

窓を閉め切った室内で作業してると、気づかないうちに室内にガスが充満する。そこに電動工具の火花、静電気、誰かが吸うタバコの火。ほんの小さな火種で爆発・火災を引き起こす危険があるんです。

慣れが生む落とし穴

食品工場の事故も、おそらく換気が不十分だったんでしょう。「いつもの作業だから」という慣れが、危険な状況を生み出してしまった。

私たちも同じです。毎日使ってる材料だから、毎日嗅いでる臭いだから、つい「大丈夫だろう」って思いがちです。

でも、それが一番危険なんです。

今日から実践する3つの鉄則

そこで、皆さんに徹底してもらいたいのが「換気の徹底」と「火気管理の再確認」です。

  1. 十分な換気の確保
    有機溶剤を含む材料を使う時は、必ず窓やドアを開ける。送風機を回すなど、とにかく風の流れを作る。「ちょっとくらい」は禁物です。
  2. 明確な火気管理
    作業場所の周辺では、動火作業(火気使用作業)を厳禁とする。そして、その旨を誰が見てもわかるように掲示する。
  3. ガス濃度の定期測定
    作業中は、ガス検知器で空気中の可燃性ガス濃度を定期的に測る。数値で確認することが大切です。

見えない危険との戦い

臭いに慣れてしまうと、危険な濃度になっても気づかないんです。鼻は嘘をつきます。

危険は「目に見えない」「臭いに慣れる」という形で、私たちのすぐそばまで迫ってきます。それを忘れちゃいけません。

現場全体での意識共有

自分たちの作業が火種を生んでないか。周りの作業で可燃性ガスが発生してないか。

常に広い視野で現場全体を見渡して、火災・爆発のリスクを全員で管理していきましょう。

一人の油断が、現場全体の災害につながります。でも、一人の気づきが、現場全体を救うこともあるんです。

今日も一日、ご安全に!


引用・参考文献

  1. 港湾荷役作業における重大事故事例(労働災害データベースより)
  2. 食品工場における爆発・火災事故事例(消防庁・事故事例データベースより)