明日の建設現場の朝礼ネタ 9

アンゼンアンシン

建設現場朝礼安全講話資料

第1話:「かもしれない運転」の徹底が、仲間と自分を救う

皆さん、おはようございます!

今朝、広島で3台が絡む大きな交通事故があって、2名の方が亡くなるという痛ましいニュースを目にしました¹。原因はまだ調査中ということですが、ひとつの運転ミスが取り返しのつかない大事故につながるという現実を、改めて突きつけられました。

この話、決して他人事じゃありません。私たちの土木現場では、ダンプやトラック、重機など、毎日多くの車両が行き交います。公道を走ることもあれば、見通しの悪い現場内を移動することもあります。

「自分は大丈夫」「相手が避けてくれるだろう」。そんな「だろう運転」が、一番の事故のもとなんです。ほんの一瞬、ぼんやりしたり、考え事をしたりするだけで、車両は簡単に凶器に変わります。

私の経験談

実は私も20年前、現場に入りたての頃に冷や汗をかいた経験があります。急いで資材を運んでいる時に、「この道はいつも人がいないから大丈夫」と思い込んでいました。角を曲がった瞬間、作業服を着た仲間が立っていて、急ブレーキを踏んだんです。幸い事故にはなりませんでしたが、あの時「だろう運転」の怖さを痛感しました。

そこで今日、皆さんに徹底してほしいのが「かもしれない運転」です。

  • 「急に人が飛び出してくるかもしれない」
  • 「前の車が急ブレーキをかけるかもしれない」
  • 「死角に仲間がいるかもしれない」

このように、常に最悪の事態を予測して運転することで、心に余裕が生まれます。とっさの危険に対応できるようになるんです。これは公道だけでなく、現場内の重機操作でも全く同じです。

実践ポイント

毎朝、車のキーを握る前に、この3つを心の中で確認してください:

  1. 今日の作業ルートで危険な箇所はどこか?
  2. 現場内で他の作業班がどこで作業しているか?
  3. 自分の体調や気持ちに余裕があるか?

私たちはチームで仕事をしています。自分の運転一つが、仲間の命、そして自分自身の人生を左右するんです。ハンドルを握る前、重機のレバーを操作する前に、もう一度「かもしれない運転」を心の中で復唱してください。

今日も一日、ご安全に!


第2話:「高さ2メートル」を侮るな!脚立・足場は常に危険と隣り合わせ

皆さん、おはようございます!

先日、建設現場で作業員の方が高さ約2メートルの脚立から落ちて怪我をするという事故がありました²。幸い命に別状はなかったそうですが、一歩間違えれば重大な災害につながっていたかもしれません。

「たった2メートルか」と思った人はいませんか?その油断こそが、墜落・転落災害の最大の原因なんです。

データが語る現実

厚生労働省の労働災害統計によると、建設業での死亡災害のうち、墜落・転落が約4割を占めています³。しかも、その多くが10メートル以下、特に2~5メートルの比較的低い場所からの転落なんです。

私たちの現場にも、脚立や足場、開口部など、「ちょっとした高さ」の危険は至る所にあります。

よくある危険な考え方

  • 「ヘルメットのあご紐は、まあいいか」
  • 「このくらいの高さなら、安全帯は面倒だ」
  • 「足元に工具が置いてあるけど、またいで通ればいいや」

こんな小さな手抜きや油断が、人生を大きく変える事故を引き起こします。脚立がぐらついたり、足元の工具につまずいたりしてバランスを崩せば、たとえ2メートルでも、打ち所が悪ければ命に関わります。

私が見てきた事故の教訓

30年近くこの仕事をしていると、残念ながらいくつかの事故を目にしてきました。特に印象に残っているのは、ベテランの職人さんが「いつものことだから」と安全帯をつけずに作業して、転落した事故です。経験があるからこそ、基本を軽視してしまったんです。

今日、作業を始める前にもう一度、自分の作業場所の足元を確認してください。

安全チェックポイント

  1. 脚立は正しく設置されていますか?
    • 開き止めはしっかりかかっているか
    • ガタつきがないか
    • 設置面は水平で安定しているか
  2. 足場に不要な物やゴミは置かれていませんか?
    • 工具の置き忘れはないか
    • 材料が散乱していないか
    • 滑りやすいものが落ちていないか
  3. 高さに関わらず、ヘルメットのあご紐はしっかり締めましたか?
    • あご紐の調整は適切か
    • ヘルメット自体に損傷はないか
    • 安全帯の点検は済んでいるか

基本中の基本ですが、この基本を守り続けることが、自分自身と大切な仲間を守る唯一の方法です。「慣れ」や「過信」を捨てて、常に初めてその場所で作業するような新鮮な気持ちで安全確認を徹底しましょう。

家族のことを思い出してください

皆さんには、帰りを待っている家族がいます。「ただいま」と言って家のドアを開ける。その当たり前の幸せを守るために、2メートルであっても決して油断しない。これが私たち現場で働く者の責務だと思います。

今日も一日、ご安全に!


脚注

¹ 「3台がらみの事故」車同士が正面衝突か 男女2人が死亡 2人けが 広島・安佐南区 (RCC中国放送 – 2025/08/28)

² 建設現場での転落事故に関する報道 (2025年)

³ 厚生労働省「令和6年における労働災害発生状況」