建設現場の安全衛生スピーチ 1

アンゼンアンシン

朝礼資料:クレーン転倒事故から学ぶ安全対策

皆さん、おはようございます!

さて、今朝は安全衛生に関する話題はクレーンの転倒事故についてです。これは決して他人事じゃありません。 私たちの現場でも十分起こり得ることなんです。

発生した災害の概要

つい先日、ある建設現場でとんでもない事故が起きました。 クライミングクレーンのジブが突然倒れてしまったんです。

作業員が型枠用のパネルをクレーンで吊り下げて、荷下ろしをしようとしていました。 いつものようにジブを下げようとしたその時です。 動きが止まらなくなってしまったんです。

そのままジブがビルに激突して、ポッキリと折れ曲がってしまいました。 本当に恐ろしい光景だったと思います。

幸い、この事故では死傷者は出ませんでした。 でも、一歩間違えれば大惨事になっていたかもしれません。

事故の主な原因を探ってみると…

このクレーン、実は製造から約30年も経っていたんです。 長い間、いろんな現場を渡り歩いて働き続けてきた、いわばベテランのクレーンでした。

事故の直接的な原因は何だったと思いますか? ジブの起伏用電動機の駆動軸にある歯車、この歯が折れてしまったんです。

歯車の歯が折れると、当然ながら歯車同士が噛み合わなくなります。 そうなると、ワイヤーロープが抜けてしまって、制御が効かなくなってしまうんです。

でも、ここからが問題なんです。 設置前の点検では、ブレーキライニングの摩耗などは確認していました。 しかし、ドラム内部の歯車の状態まではチェックしていなかったんです。

さらに問題だったのは、クレーンの試運転をした時のことです。 実は異音がしていたんです。でも作業者は「まあ、大丈夫だろう」と自己判断してしまった。 上司への報告もしなかったんです。

これが致命的でした。

今後の安全対策 – 私たちにできること

この事故から、私たちは3つの大切な教訓を学ばなければいけません。

1. 長期使用クレーンの点検は特に念入りに

古いクレーンほど要注意です。 特に動力伝達機構、つまり歯車などの部品は摩耗が進んでいます。 見た目では分からない内部の劣化を見逃さないよう、入念な点検が必要です。 必要に応じて、迷わず部品交換をしましょう。

2. 試運転時の「ちょっとした異常」を見逃すな

異音は機械からの重要なメッセージです。 「いつもと違う音がするな」「何か変だな」と感じたら、それは間違いなく異常のサインです。 小さな変化でも見逃してはいけません。 机上の点検だけでなく、実際に動かしてみて五感で確認することが大切です。

3. 異常を感じたら即座に報告・相談

自己判断は絶対にダメです。 「このくらいなら大丈夫だろう」「まだ使えるだろう」という安易な判断が事故を招きます。 少しでも異音が聞こえたり、いつもと違う動きをしたりした場合は、すぐに作業を中断してください。 そして、元請けや責任者に必ず報告しましょう。

最後に

皆さん、安全は誰かが守ってくれるものではありません。 私たち一人一人の日々の小さな気づきと行動の積み重ねなんです。

「おかしいな」と思ったら声に出す。 「これは危険かも」と感じたら立ち止まる。 そんな一つ一つの判断が、皆さんの命を、そして家族を守ることにつながります。

今日も一日、皆で声を掛け合って、安全第一で作業を進めましょう。 何か気になることがあれば、遠慮なく私に声をかけてください。

それでは、ご安全に!

引用・参考文献

○ 厚生労働省「職場のあんぜんサイト」労働災害事例:クライミングクレーンのジブの後方転倒