労働者の信頼を得る「外部相談窓口」のかたち

ハラスメント

【検討中】労働者が安心して使える「外部相談窓口」のかたち

──目安箱+契約解除権で“忖度しない仕組み”をつくる

こんにちは。
2026年4月の開業を目指し、現在「OFFICE SAFE WORK」の業務内容を検討しています。

私が大切にしているのは、「職場の安全と人権を守る外部機関として、社会に本当に必要とされることは何か?」という視点です。

その柱のひとつとして、今、真剣に取り組んでいるのが 「職場ハラスメントの外部相談窓口」の運用支援 です。


なぜ、外部相談窓口が“機能しない”のか?

多くの企業で「外部相談窓口」が整備されつつありますが、実際に活用されている例は多くありません。

その背景には、利用者側のこんな不安があります。

  • 「会社が費用を出しているなら、相談窓口は会社に忖度するのでは?」
  • 「相談しても、どうせ会社に話が回ってしまうのでは?」

この“不信感の壁”を越えるために、私たちは 制度設計そのものを見直す必要がある と考えています。


✉️ 匿名でも声が届く「ハラスメント目安箱」

まず提案したいのが、「ハラスメント目安箱」の仕組みです。
これは実名相談の前段階として、匿名でも声を上げられる仕組みです。

たとえば次のような運用を想定しています。

  • スマホ対応のオンライン匿名フォーム
  • 社内設置ポストまたは封書で外部に直接届く方式
  • 匿名の情報も集計・分析し、企業へ傾向レポートを提供

「相談するほどじゃないけど、言いたいことがある」
そんな声を拾い上げる仕組みが、トラブルの芽を早期に見つけるきっかけになります。


⚖️ 会社任せにしない「契約解除権」という仕組み

もうひとつの柱が、労働者側が外部窓口に対して“契約解除権”を持つ制度です。

これは、相談窓口が企業の外注先である限り生じる“中立性への疑念”を払拭するための仕組みです。

たとえば、次のようなルールを検討中です。

  • 外部相談窓口との契約は企業が行う
  • ただし、労働者の過半数代表や労働組合から「中立性に欠ける」と申し出があれば、契約を解除できる
  • 年1回、相談対応に関する信頼性・満足度を労働者に公開
  • 契約時には労働者代表の同意を要件とする

相談者が「この窓口は本当に中立だ」と信じられる構造を、制度として組み込むことが目的です。


📦 「目安箱」→「相談」→「対応」へ

この仕組みは、次のような流れで段階的に活用されることを想定しています。

  1. 目安箱で声を集める
     → 外部機関が内容をとりまとめ、企業に傾向をフィードバック
  2. 実名での相談(希望者のみ)
     → 急を要する場合や、対応を望む場合に限り
  3. 外部相談窓口が対応・助言・改善提案を実施
     → 調査や再発防止の助言も含め、企業へ対応を促す

もちろん、相談者の同意なしに企業へ内容を共有しないことを契約書レベルで明記します。
「相談したら自分が不利益を被るかも」という不安を、制度で取り除きます。


現在、以下の業務内容を中心に検討中です:

  • 匿名「ハラスメント目安箱」の設計と運用支援
  • 外部相談窓口の業務受託(守秘性・中立性重視の契約設計)
  • 労働者代表による外部窓口評価・契約解除制度の制度化支援
  • 相談傾向のレポート作成と組織へのフィードバック(年次・四半期)
  • 就業規則改定・労使協議への支援

最後に

「制度がある」ことと「制度が使われる」ことは別です。
本当に信頼される相談窓口とは、労働者が「自分たちの声をまっすぐ受け取ってくれる」と実感できる仕組みであるべきだと考えています。

そして企業にとっても、信頼ある相談窓口はトラブルの早期発見と、優秀な人材の離職防止につながります。

OFFICE SAFE WORKは、2026年の開業に向けて、こうした理想論を現実に落とし込む制度設計を進めています。
今後も検討内容や具体的な仕組みを順次発信していきますので、関心をお持ちの方はぜひ引き続きご覧ください。