ケーススタディで考える「これってハラスメント?」
対面・従来型のケース
ケース3:廊下でぶつかった手が、わざと触られたように感じた
会社の狭い廊下で、ある異性の同僚とすれ違う際、相手の手があなたの身体に触れました。それは偶然ぶつかっただけかもしれません。しかし、あなたはその同僚から以前から視線を感じることが多く、今回の接触も偶然を装った意図的なものではないかという疑念が拭えません。
【心のざわつきポイント】
これは客観的な証拠がなく、あなたの「主観」が判断の大部分を占めるケースです。
だからこそ、一人で抱え込み「自分の思い過ごしかもしれない」と悩んでしまいがちです。
しかし、あなたのその「疑念」は決して根拠のないものではありません。
それは、相手との「それまでの関係性」の中で、あなたが無意識に感じ取ってきた違和感の積み重ねから生まれている可能性があります。
このケースで重要なのは、一度の接触だけで判断するのではなく、「継続性」という視点を持つことです。
今後も同じような「偶然」の接触が繰り返されるようであれば、それはもはや偶然ではなく、意図的な行為である可能性が極めて高くなります³。
【考えてみましょう】
– その同僚に対して、以前からどんな「違和感」を感じていましたか?
– もし、また同じことが起きたら、あなたはどうしますか?
– その「疑念」を、誰かに相談できていますか?
ケース4:厳しいけれど、的確な業務指導
あなたの上司は仕事に非常に厳しく、少しでもミスをすると鋭い言葉で指摘してきます。「なぜ、こうなる前に報告しなかったんだ」「この資料の目的を、本当に理解しているのか」。言葉は厳しいですが、言っていること自体は正論であり、あなたの成長を思ってのことだと感じる部分もあります。しかし、毎日のように続く厳しい指導に、あなたは精神的に追い詰められ、会社に行くのが辛くなってきました。
【心のざわつきポイント】
これは、「指導」と「パワーハラスメント」の境界線上で、最も多くの人が悩むケースです。
「的確な指導」という側面があるために、「これくらいで辛いと感じる自分は、甘えているのではないか」と自分を責めてしまいがちです。
しかし、パワハラは「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」と定義されています。
指導の「目的」が正しく、内容が的確であったとしても、その「手段」があなたの心を追い詰めるほどに過剰であれば、それは「相当な範囲」を超えていると言えるのです。
例えば、指導が以下のような要素を含む場合は要注意です:
– 毎日、何時間にもわたって執拗に続く
– 他の社員の前で、晒し者にするような形で行われる
– 「君のため」と言いながら、人格を否定するような言葉が混じる
【考えてみましょう】
– あなたは、上司の指導の「何」に、最も辛さを感じますか?
– その指導によって、あなたの仕事のパフォーマンスは上がっていますか?下がっていますか?
– 上司は、厳しいだけでなく、褒めたり感謝を伝えたりしてくれることはありますか?