はじめに
育成就労法に関連する省令案について、2025年4月28日から5月28日までパブリックコメントが募集されています。開業後の業務に関係する可能性がある外部監査人について、技能実習制度との違いを中心に確認しました。
外部監査人の設置が義務化
技能実習制度では、監理団体の外部役員による監査も認められていました。一方、育成就労制度では、より高い独立性を求めた「外部監査人」の設置が義務付けられます。
外部監査人に求められる要件は、以下のとおりです。
外部監査人の独立性に関する要件
- 過去5年以内に監理型育成就労実施者またはその役員・職員であった者を除く
- 上記の関係者の配偶者および二親等以内の親族を除く
- 社会生活上の密接な関係により、公正性が損なわれるおそれがある者を除く
これらの要件は、技能実習制度と同様の内容となっています。
能力・資格に関する要件
- 過去3年以内に、法務大臣および厚生労働大臣が定める外部監査人向け講習を修了していること
- 弁護士、社会保険労務士、行政書士、または育成就労に関する知見を有する者であること
- 外部監査の公正性を害する関係にないこと(詳細は下記参照)
外部監査人として選任できない者
- 申請者や構成員、その役員・職員または過去5年以内の該当者
- 育成就労に関する同業他社の関係者
- 外国の送出機関関係者(過去5年以内を含む)
- 過去に不正・不当な行為歴がある者
- 社会生活上、申請者らと密接な関係にある者
新たに加わった要件
- 外部監査人としての氏名を、機構がインターネット上で公表することに同意する必要があります
この規定は、技能実習制度にはなかった新たな要件です。有識者会議での「責任の明確化」を求める意見を反映した内容となっています。
外部監査の実施方法
外部監査は、次の2つの方法で実施されます。
- 各事業所について、3か月に1回以上、次の方法で確認を行い、結果を記載した書類を申請者に提出
- 責任役員や監理支援責任者から報告を受ける
- 事業所の設備や帳簿書類などを確認・閲覧する
- 年に1回以上、申請者が実施する監査に同行し、結果を記載した書類を提出
これらの監査方法は、技能実習制度と同様の内容です。
技能実習制度との主な違い
以下の2点が主な変更点です。
- 外部監査人の選任が必須になった
- 氏名のインターネット公表に同意する必要がある
開業後に外部監査人を受託するにあたっては、講習の受講はしておかないとならないようです。講習の内容が確定後に申し込むこととします。