事例研究 墜落・転落の危険 フォークリフト

事例研究

災害事例

 被災者は、Aが運転するフォークリフトのパレットに乗って工場の中二階に登り、そこにある篭を取り出して篭とともにパレットに乗った。そしてAは、被災者と篭を降ろすためパレットを上げた状態でフォークリフトを後進させたところ、被災者が床面に墜落したもの。

発生原因

 この災害は、中二階に置いてあった篭を降ろす作業中に発生したものであるが、その原因としては次のことが考えられる 

  • フォークリフトを労働者の昇降に用途外の使用をしたこと
  • 中二階の作業が、墜落防止措置が必要な高所作業であることの認識がなく、安全対策を行っていなかったこと
  • フォークリフトを用いて作業を行うときの作業指揮者を定めてなかったこと。

再発防止対策

 同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

  1. 作業計画を作成して作業を行うこと
     高所の作業では、あらかじめ作業場所の広さ、高さなどの状況を検討した上で作業方法を決定し、必要な人員、材料、足場等を含めた作業計画を作成して、作業を行わせる。
  2. 高所作業では墜落防止措置を講ずること
     高さが2m以上の場所における作業については、墜落防止のための手すり等が取り付けられた作業床を必ず用意する。また、作業用足場の設置、高所作業台または高所作業車を準備し、フォークリフトのフォーク上では作業を行わないようにする。
     なお、止むを得ず、フォークリフトを用途外で使用しなければならない場合には、フォークリフトを転倒するおそれのない場所に置き、パレットをフォークに固定し、かつ、パレットの周囲に十分な高さの手すりや枠を設ける等の墜落防止のための措置を講じた上で作業を行わせなければならない。
  3. 安全衛生教育を実施すること
     雇用した作業者に対しては、基本的な安全衛生教育を実施するとともに、特に高所での作業に従事させる場合には、あらかじめ墜落防止対策、安全帯の使用方法等について教育訓練を行う。
  4. 作業マニュアル等の整備
     使用機材、作業の手順、必要な安全対策等を含めた作業マニュアルを作成する。
  5. 安全な昇降設備等を設ける
     高さが1.5mを超える箇所で作業を行うときは、フォークリフトを使用することなく、安全に昇降するための設備等を設けること
  6. 作業指揮者を定める
     フォークリフトを用いて作業を行うときは、作業指揮者を定め、その者に、作業計画に基づき作業の指揮を行わせること。

コメント